悲しみ、喪失感、怒り、やるせなさ…
失恋で起こるネガティブな気持ちからあなたを救い、癒しと気づきを与えてくれる存在、それが小説です。
失恋の喪失感で時間があるという人は、ぜひ小説を読んでみてください。
小説は歌や映画、漫画ほどのわかりやすさはありませんが、じわじわと心に染み入る深さがあります。
今回の記事では、失恋したときにおすすめの小説を11個、なりたい気持ち別に紹介します。
失恋して思い切り泣きたいときにおすすめの小説4選
まず紹介するのは失恋して思い切り泣きたい人におすすめな小説4選です。
失恋の気持ちを整理するにはまずは泣くこと!
じんわり涙腺に来るもの、号泣待ったなしのもの、タイプは様々ですがどれも涙を誘うことは請け合いです。
泣ける失恋小説①『いま、会いにゆきます』市川拓司
好きな人を思うとき、必ずその思いには別離の予感が寄り添っている。―もし、そうだとしても。書かれているのは、ただ「愛している」ということ。思いきり涙を流してください。新しいベストセラー恋愛小説の誕生です。
『いま、会いにゆきます』は、死んだ妻との奇跡の再会を通して、愛や家族について考えさせてくれる小説です。
切なさ、愛おしさ、悲しさ、嬉しさ…相反するようにも見えるたくさんの感情がごっちゃになって、とにかく泣けます。
比較的リリカルでライトな語り口でありながらも、こんなにも胸を打つのは、根底にある愛へのひたむきさがにじみ出てくるからではないでしょうか。
失恋するシーンがあるわけではないですが、とにかく泣きたい人におすすめの小説です。
泣ける失恋小説②『君の膵臓を食べたい』住野よる
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!
ショッキングなタイトルに驚くかもしれませんが、ホラーではなく高校生の恋愛と喪失を描いた小説です。
詳しくはネタバレになるので書けませんが、当たり前に過ごすことができるありがたさと、人の出会いの尊さを実感できる小説です。
タイトルの意味が分かったとき、その言葉に込められた気持ちに号泣すること必至でしょう。
筆者は前半楽しく読んでいたのに、後半は涙で字が読めないほど泣きました…
号泣したい人におすすめです。
泣ける失恋小説③『見知らぬ妻へ』浅田次郎
新宿・歌舞伎町で客引きとして生きる花田章は、日本に滞在させるため偽装結婚した中国人女性をふとしたことから愛し始めていた。しかし―。(表題作) 才能がありながらもクラシック音楽の世界を捨て、今ではクラブのピアノ弾きとして生きる元チェリストの男の孤独を描いた「スターダスト・レビュー」など、やさしくもせつない8つの涙の物語。
「泣かせ屋」の異名をとる、浅田次郎の短編集。
その異名の通り、どの短編もしみじみとした優しさと切なさにあふれています。
表題作である「見知らぬ妻へ」という短編は、売春婦の偽装結婚にまつわる話ですが、人生において愛とは何か、家族とは何かを考えさせてくれる話です。
筆者は普通に小説を読んで感動して涙し、失恋相手に置き換えて二度涙しました。
泣かせ屋の異名はだてじゃありません…
しみじみとしたい人におすすめです。
泣ける失恋小説④『ツ、イ、ラ、ク』姫野カオルコ
地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々―。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。
恋はどうしようもなく「落ちる」もの、残酷で美しいものだということを痛いほど感じさせてくれる失恋小説です。
小学校2年生から小説は始まり、中学生のときの激しい恋と失恋を経て、大人になり再開したところで小説は終わります。
恋愛をしているときの狂おしさ、どうしようもない感じ、本能にふりまわされ理性が飛ぶ感じが生々しくリアルに描かれていて、読むと鳥肌がたつほどです。
恋愛中の生々しさが強い分、失恋の痛さも強く感じられ、失恋した後に読むと身を切られるような痛さを感じるかもしれません。
号泣しつつも、最後は魂が浄化されるような気持になる人も多いはず。
失恋について、恋愛について真剣に考えたい人におすすめです。
失恋後の心に光をともしてくれる優しい小説3選
失恋すると悲しい、寂しいだけでなく、自分が嫌になったり、相手を憎んだり嫌な気持ちも出ちゃいますよね。
そこでここでは失恋後の心に光をともしてくれるような、優しい小説を3選紹介します。
優しい失恋小説①『Presents』角田光代
私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」―。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切りとった12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。
「女性が一生のうちにもらう贈り物」をテーマにした短編集。
生まれた時にもらう「名前」から始まり、様々な視点で贈り物についての物語が描かれます。
小説を読み通すと、自分にもたくさんの贈り物があることに気づくことができるはずです。
失恋した後の自分を優しく肯定してくれる、まさにプレゼントのような一冊です。
筆者はあまりに気に入ったので購入し、妹への誕生日プレゼントにしたことがあります。
優しい失恋小説②『百瀬、こっちを向いて。』中田永一
「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは―。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった…!」恋愛の持つ切なさすべてが込められた、みずみずしい恋愛小説集。
中高生のせつない恋心をみずみずしく描き切る、胸がきゅんきゅんする恋愛と失恋の小説。
「失恋したときに胸がときめく内容?しかも中高生がモデルの小説なんて…」と言わずに、読んでみてください。
心情描写が細やかでリアルであり、どの主人公も不器用に生きているのがわかるので、大人が読んでも違和感がありません。
むしろ主人公の不器用さに共感できること必至です。
ミステリーのようなちょっとしたひねりもあって、読後感が最高にさわやかです。
失恋後のささくれだった気持ちを癒したい人に最適。
優しい失恋小説③『きみはポラリス』三浦しをん
どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている―。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。
三角関係、不倫、同性愛…
密やかで大っぴらにできない様々な恋愛と失恋の形を、優しく穏やかな筆致で書いた珠玉の短編集。
自分のした恋愛や失恋で人知れず悩んでいる女性には特におすすめです。
この小説の優しい語り口は、どの恋愛も間違っていたわけではないと肯定してくれ、失恋にも意味があったのだと背中を押してくれます。
ポラリス=北極星のように、心にきらりと輝く星が生まれたように感じられる一冊です。
失恋だけが人生じゃない!前を向く元気を与えてくれる小説4選
失恋だけが人生じゃない!
そんなこと言われてもなかなか動けないのが失恋後というもの。
ここで紹介する小説は、どれも失恋や挫折を経験しつつも最後には前を向く主人公が登場します。
読み終わると、不思議と前向きな気持ちになっている小説を4選紹介します。
失恋から立ち直る小説①『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都
暗闇をさまよう明日羽に、叔母のロッカさんは“リスト”を作るよう勧める。溺れる者が掴むワラのごとき、「漂流者のリスト」だという。明日羽は岸辺にたどり着けるのか?そこで、何を見つけるのか?ささやかだけれど、確かにそこでキラキラと輝いている、大切なもの。読めば世界が色づきはじめる…“宮下マジック”にハマる人続出中。
婚約破棄をされた主人公が、自分自身を見つめなおすまでの物語。
自分自身を見つめなおし、立ち直る方法として、作中では「やりたいことリスト」の作成を進めています。
これは実際に失恋から立ち直ろうとするときにも最適な方法です。
実践的に役に立つ失恋小説といえるでしょう。
またタイトルにもあるように、この小説は食べるということに非常に重きをおいています。
「わたしの選ぶものでわたしは作られる」という小説のメッセージが、自分自身を大切にするということを思い出させてくれます。
自分自身を大事にするためにも、きちんと食べようという気持ちにさせてくれる本です。
失恋から立ち直る小説②『阪急電車』有川浩
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
阪急電車という実在する電車の駅を舞台に、様々な人の恋愛模様や人生模様を描き出す短編集。
この小説に出てくる女性は、結婚直前に彼氏を寝取られたり、DVをする相手から逃げようとしていたり、一癖二癖ある失恋をした女性ばかり。
でもどの女性も凛としていて、正々堂々と失恋と今後の人生に向き合っています。
そのほかのエピソードも、身の回りにあるささいなことが出会いや人間的成長につながる、読後感のいい話ばかり。
電車という日常的なモチーフだからこそ、自分自身を見つめなおし、立ち直るきっかけを見つけるヒントが得られそうな小説です。
失恋から立ち直る小説③『くまちゃん』角田光代
風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが…。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
失恋小説と言えばこれ、というほど鉄板の失恋小説、それが『くまちゃん』です。
短編集なのですが、すべての話で誰かがふられています。
しかもふった相手が次の話では誰かにふられる…というように、誰もかれもみんなふられるのがこの小説の特徴。
リアルなふられ具合に自分を重ねてちょっと涙し、ふった相手がふられているのを見て留飲を下げにやりと笑い、読後は「みんなふられるんだな」と達観したような気持ちになれます。
失恋から立ち直る小説④『ランチのアッコちゃん』柚木麻子
地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!
失恋した主人公がアッコさんという上司に謎の指示を出され、徐々に立ち直っていく…アッコさんのかっこよさと、おいしそうな食べ物とで、読むと元気が出る小説です。
おいしい料理と、うまくいったことで感じる自己肯定感は、意外に失恋から回復するときの必要条件に似ています。
失恋について考えるのに疲れた時、前向きな気持ちを持ちたいときにまさにぴったりの小説です。
余談ですが、小説の中に出てくる料理はとてもおいしそうで、見ているとお腹がすくこと請け合いです。
小説は失恋後に役立つヒントがたくさん
失恋したときにおすすめの小説を11選紹介しました。
日ごろ小説を読みなれていない人にはなかなか読めないかもしれませんが、小説には心を磨く不思議な力があります。
少しでも気になったのなら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
きっと失恋後の心に沁みる言葉が見つかるはずです。
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