「失恋したら体調が悪くなった」という話はよく耳にします。
実は、精神的なストレスは体調不良を引き起こすことがあるのです。
今回は失恋後の体調不良に悩まされている人のために、症状の改善方法やストレス発散方法をご紹介します!
体調不良は心と体のSOSです。
症状の原因や改善方法を知って、失恋の痛みを根本から解決しましょう。
失恋による体調不良でよくある症状と原因
失恋すると「眠れなくなった」「食欲がなくなった」といった症状のほかに、まるで風邪のような症状が現れることがあります。
その原因とは、いったい何なのでしょうか?
ここでは、失恋後のストレスによって現れる症状とその原因について解説します。
だるい・無気力・うつ状態
失恋を体験した人の中でもよく見られる症状ですね。
これは、ホルモンバランスの乱れが主な原因とされています。
人間はストレス状態なると、ホルモンバランスが崩れて「幸せホルモン」が減少するのです。
幸せホルモンとは「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」と呼ばれる3つのホルモンを指します。
幸せホルモンが減少すると、やる気や幸福感がなくなり「何もしたくない…」「私なんか生きる意味ないなんだ…」と無気力でネガティブな感情が現れてしまうのです。
事実、うつ病患者やストレス障害を持つ人々は幸せホルモンが減少傾向にあることが分かっています。
参考:有田秀穂「脳からストレスを消す技術 セロトニンと涙が人生を変える」(サンマーク出版)
肌が荒れる
失恋すると肌が荒れるという人もいます。
これは、失恋したことによって美容への関心がなくなり、スキンケアを怠るようになったことが原因だと考えられます。
さらに、ストレスによる脳下垂体の機能の低下も原因として挙げられます。
脳下垂体は脳の一部で、成長ホルモンを促したり感情をコントロールしたりする場所です。
成長ホルモンが十分に分泌されないと、皮膚の組織を再生させる機能が低下し、肌が荒れたり、しみやそばかすが増えたり、さらにしわが増えたりといった症状が現れます。
そのほか、成長ホルモンが減少すると次のような症状も現れます。
□ストレスがたまりやすくなる
□血中のコレステロール値が上昇する
□骨密度が低くなる
□傷が治りにくくなる
□免疫力が低下する
□抜け毛が増える
肌荒れは心の乱れ。
自分の体が出すサインを見逃さず、ストレス解消に取り組んでいきましょう。
胃痛・腹痛
緊張したときや不安なときに胃痛や腹痛といった症状が現れた経験はありませんか?
失恋による胃痛・腹痛もそれと同じメカニズムです。
脳と消化器官は密接なつながりがあります。
脳が失恋によるストレスを感知すると、消化器官が過敏になり、胃痛や腹痛、下痢や胸やけなどの症状が現れるのです。
慢性的な腹部の不調は「過敏性胃腸症候群」とも呼ばれ、医師からの処方が必要になるケースもあります。
また、失恋だけでなく仕事や人間関係、新しい職場など環境の変化もストレスの要因になる可能性があるので、できるだけひとつひとつのストレスを軽減させていくことが大切です。
吐き気・嘔吐
失恋後の吐気・嘔吐といった症状は「心因性嘔吐」が原因かもしれません。
心因性嘔吐とは、精神的なストレスによって吐気・嘔吐などの引き起こされる症状を指します。
ストレスが大脳で処理しきれず、その結果「延髄」という部分の「嘔吐中枢」が刺激され、吐気が誘発されてしまうのです。
症状が続くと、胃酸が食道や口内に広がって炎症や虫歯ができたり、「また吐いてしまうのでは?」という恐怖感で摂食障害になったりする可能性もあります。
失恋による体調不良の中でも特に注意が必要な症状です。
発熱
「高熱ではないけれど、微熱がずっと続く」
「熱が出て病院に行ったけど原因がわからない」
「解熱剤を飲んでも効かない」
そんな症状が失恋後に現れたら「心因性発熱」かもしれません。
心因性発熱は心因性嘔吐と同じく、精神的なストレスによって引き起こされる症状で、人によっては39℃の高熱が出ることもあります。
成人の場合は37℃ぐらいの微熱が長期間続くパターンが多いようです。
心因性発熱は風邪と違ってウイルス性の病気ではないので、検査をしても異常が見つからず、風邪薬や解熱剤が効かないという特徴があります。
ウイルスが体になくても発熱であることは変わりないので、一度しっかり休息をとる必要があります。
失恋による体調不良やストレスを解消させる方法
失恋による体調不良は体だけでなく心もむしばみます。
症状が続けば、うつ病やストレス障害、摂食障害を引き起こす可能性があります。
それでは、失恋による体調不良やストレスを解消させるには、どんな方法があるのでしょうか?
ここでは、今すぐ簡単にできる改善方法をつご紹介します!
①とにかく休んでたっぷり睡眠をとる
体がだるい、吐気や腹痛といった症状が出たら、まずはたくさん寝ましょう。
睡眠は疲労を回復させる効果があります。
睡眠中は体をリラックスさせる副交感神経が働いて、弱った臓器や器官の修復も行ってくれます。
つまり、睡眠は体調不良で弱った体を癒してくれる効果があるのです。
さらに、睡眠には集中力を上げたり、判断力や決断力を高めたりする効果もあります。
「失恋後、睡眠不足で仕事でミスをするようになった」という人も、しっかりと睡眠をとりましょう。
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②病院に行って処方を受ける
たくさん睡眠をとって休んでも症状が改善しない場合は、病院へ行って処方を受けましょう。
ただ、心因性の熱や吐気は、普通の内科へ相談しても薬が効かなかったり、効果的な処方をしてもらえなかったりする可能性があります。
そのため、失恋による体調不良の相談は心療内科がおすすめです。
心療内科では、ストレスの根本と向き合う「カウンセリング」や薬物治療など、様々な治療が施されます。
もしも失恋による体調不良で生活がままならないのであれば、一度心療内科でカウンセリングを受けましょう。
③映画やドラマを観てたくさん泣く
「泣く」という行為は「悲しいこと」「ネガティブなこと」と捉えられることが多いのですが、実は睡眠と同じぐらいストレス解消に効果的なのです!
人間は泣くと副交感神経が刺激され、体がリラックス状態になります。
これは睡眠と同じ作用ですね。
さらに、「ストレスホルモン」のひとつである「コルチゾール」も涙と一緒に流れます。
コルチゾールは代謝の促進や脂肪の分解といった役割を持つ大切なホルモンですが、分泌が多くなると憂鬱な気分になったり、イライラしたり、眠れなくなったりといった症状を引き起こします。
つまり、泣くとコルチゾールが体内から排出されるので、ホルモンのバランスを安定させるには効果的な方法なのです。
普通に泣いてもいいのですが、泣けないときは感動できる映画やドラマを観て思い切り涙を流しましょう!
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④野菜やフルーツ、たんぱく質を摂る
体調不良を改善するには、栄養満点の食材を食べるのがおすすめです!
例えば、アボカドには精神安定の効果がある「葉酸」という成分がたっぷり含まれています。
また、ブルーベリーにはストレスに対抗する力をくれる「ビタミンC」、バナナには幸せホルモンのセロトニンを作る成分である「トリプトファン」が含まれています。
納豆などの豆製品はうつ病の改善に効果的な「ビタミンB6」を多く含んだ良質なたんぱく質です。
ヨーグルトやキムチなどの発酵食品もストレス軽減に役立つ成分が入っています。
食欲が出ないときは、まずはサラダや納豆ご飯、ヨーグルトなどの手軽なものから食べ始めてみましょう。
豚肉や牛肉の赤身肉やサバやアジなどの青魚も抗うつ作用のある成分があるので、食欲が回復したらステーキや焼き肉、お寿司をガッツリ食べるのもおすすめです!
参考:
メンタルクリニック-あさひ・こころのクリニック「うつ病と食事」
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⑤ツボを押す
腹痛や胃痛、吐気や食欲不振を解消するには、ツボ押しが効果的です。
「ツボ押し」は東洋医学に通じる健康法のひとつ。
ツボを押すことによって自律神経が刺激され、リラックス効果や疲労回復、血行促進、臓器の再生などの効果が現れます。
それでは、症状別にツボを見ていきましょう。
肘を曲げた時に見える線から手に向かって指3本分のところ。
てのひらの中央にあるくぼみ。
ツボ押しマッサージに行くとなお効果的です!
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⑥ボランティアをする
幸せホルモンのひとつである「オキシトシン」は、人とのスキンシップや動物との触れ合いによって増加することが分かっています。
これに加えて、人に親切にすることでもオキシトシンが増加することが判明しました。
オキシトシンはイライラや不安感などのネガティブな感情をコントロールし、免疫力を高めてくれるホルモンです。
つまり、人のためにボランティアをすると、自分自身の心身が健康になるというメリットがあるのです。
体調が順調に回復して、心に少し余裕ができたら、気分転換としてボランティア活動をしてみましょう。
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⑦自然がたくさんある場所へ行く
草木や森林などの自然は、人間の心を癒してくれる効果があります。
とある研究では、自然散策に取り組んだ男女の不安や緊張といったマイナスな感情が軽減され、さらに集中力やリラックス効果が高まったことが発表されました。
参考:自然散策が及ぼす心理的・生理的効果の性格特性による比較 ―「東京都檜原都民の森」における調査結果より―
失恋後の体調不良が収まったら、友だちや家族と森林浴や散歩、ピクニックに出かけてみてもいいですね。
失恋による体調不良が現れたらゆっくり休もう
失恋後の体調不良は周りから「たいしたことない」と思われがちですが、慢性的に続くとうつ病や摂食障害などの深刻な病気を引き起こすリスクがあります。
体調不良になった時は無理せずゆっくり休むのが大切です。
そして元気が出てきたら、映画やドラマを観たり、ツボ押しマッサージに行ったり、森林浴をしたりして気分をリフレッシュさせましょう。
参考文献:
日本学術振興会 加藤司「失恋ス ト レスコー ビングと精神的健康との関連性の検証」
日本内科学会雑誌第102巻第1号 浅川明弘ほか「Ⅰ.FGIDの基本的知識 2.心身医学的側面(ストレスとホルモンはどうかかわるか)」